【予想的中】第166回芥川賞候補作を全部読んだ私が魅力を紹介&受賞予想します!!

【文学YouTuberベル】書評を中心に、読書の魅力を配信中の文化系YouTuber。今日は、1月19日に発表の芥川賞候補作、5冊を紹介します。

 

1冊目

前代未聞の筋トレ小説、誕生!「別の生き物になりたい」。
筋トレに励む会社員・U野は、Gジムで自己流のトレーニングをしていたところ、
O島からボディ・ビル大会への出場を勧められ、
本格的な筋トレと食事管理を始める。しかし、大会で結果を残すためには
筋肉のみならず「女らしさ」も鍛えなければならなかった――。鍛錬の甲斐あって身体は仕上がっていくが、
職場では彼氏ができてダイエットをしていると思われ、
母からは「ムキムキにならないでよ」と心無い言葉をかけられる。
モヤモヤした思いを解消できないまま迎えた大会当日。
彼女が決勝の舞台で取った行動とは?
世の常識に疑問を投げかける圧巻のデビュー作。
タイトルにある、スミスという名称は、
筋トレ器具の名前が由来。

2冊目

令和版「女生徒」どうして娘っていうのは、こんなにいつでも、
お母さんのことを考えてばかりいるんだろう。社会派YouTuberとしての活動に夢中な14歳の娘は、
私のことを「小説に思考を侵されたかわいそうな女」だと思っている。
そんな娘の最新投稿は、なぜか太宰治の「女生徒」について――?母、小説大好き空想家。娘が大事。
娘、小説大っ嫌い現実主義。世界の悲惨さに目を向けることが大事。お母さんのタンスの奥から見つけてきた、太宰治の「女生徒」
から始まる、母娘の物語。
母と娘が一緒になって令和の「女生徒」を表現している物語。小説ってなんのためにあるの?という人に是非、読んでもらいたい物語。

3冊目

「終わったのかな」「なにが?」「世界?」
同じ車に乗り込んだぼくら四人は、映画を撮るために鳥取砂丘を目指す。
注目の新星が重層する世界の「今」を描く、ロード&ムービー・ノベル。「これからぼくらが話すことは、人類最後の会話になるかもしれない。
そうやって考えるとき、皆は何を話したい?」
記憶すること、思い出すこと、未来に向かって過去をみつけ直すこと。
現実と虚構の別を越えて、新しい世界と出会う旅。群像新人文学賞受賞のデビュー作『鳥がぼくらは祈り、』に続く、23歳の飛躍作!穏やかな世界の週末を描いたアーティスティックな映画の部分と
車中を中心とした若者の会話劇が交互に描かれている構成で、
なんとも哲学的な物語。会話のパートは、ぼく目線で書かれているのですが、
このぼくと言うのは、他人から面倒臭い奴と言われるくらい、
ひとつの物事に対して食らいついて、どこまでも、どこまでも
考えていくタイプ。
それに対等に渡り合える人物が、トリキ、と言う友人。突発的に出てきた話題も連想ゲーム的に議論につないでいく。
それは、とても理屈っぽくもあるのだけれど、
想像力をも掻き立てられて。
思考の宇宙に飛ばされます!絶対という考え方はないんだな、と思わさせてくれて、
自分だったらどう考えるんだろう。と、頭を巡っていきます。全てを真剣に考えていくと疲れてしまうので、
車窓を流れる景色のように捉えて読み進めていくのが
いいのかな。という作品。しかし、それだけではなく、作者の思いもしれ〜っと
作中に組み込まれています!23歳の作者の思想も。
読者に挑戦的に仕掛けてきてます。
物語の中で言いたかったことを読者に体験させてきているのです。アドリブとメタが効いていて、今回の候補作の中で
一番、挑戦的な作品でした!オチがどう評価されるのか、気になります。全体的な雰囲気は、モノクロでしっとりした感じ。
サブカルっぽい雰囲気もあるので、
燃え殻さんが好きな人にオススメしたいです。

4冊目

ずっと遠くに行きたかった。
今も行きたいと思っている。自分の中の怒りの暴発を、なぜ止められないのだろう。
自衛隊を辞め、いまは自転車便メッセンジャーの仕事に就いているサクマは、
都内を今日もひた走る。昼間走る街並みやそこかしこにあるであろう倉庫やオフィス、夜の生活の営み、
どれもこれもが明け透けに見えているようで見えない。
張りぼての向こう側に広がっているかもしれない実相に触れることはできない。気鋭の作家、新境地の傑作中篇。冒頭は、自転車便メッセンジャーのサクマがベンツにひき逃げされる所から
始まります。作者は、元自衛官なので、戦争物、自衛隊物の作品が多い中、
今回のお話は、主人公が元自衛官という設定なだけで
他にはその要素がなく、サクマという男の生活体験が素材になっています。
題材的には、大衆向けになっているなという印象でした。なのですが、冒頭からスピード感があって、いつでも戦闘体制は、健在。
この男がどうなっていくのか夢中になって読める物語。テーマの一つに「格差社会」があり、
この描写が本当に秀逸です。自転車便の仕事が一生続けられる仕事とは思っていないから
いい加減、ちゃんとしないと!って、ちゃんとするって、なんだ?サクマの性格も手伝って、ちゃんとしようが、思わぬ展開に、
目が離せません。考えられる最悪の結末に?!
サクマに救いはあるのでしょうか?候補作の中で一番、終わり方が好きな作品でした。

5冊目

ぼくと中年男は、謎の本を探し求める。三島賞作家の受賞第一作。
幻の書の新発見か、それとも偽書か――。
高校の歴史研究部活動で城址を訪れたぼくは中年男に出会う。人を喰った大阪弁とは裏腹な深い学識で、
男は旧家の好事家が蔵書目録に残した「謎の本」の存在を追い始めた。
うさん臭さに警戒しつつも、ぼくは男の博識に惹かれていく。
ラストの逆転劇が光る、良質のミステリのような注目作。「偶然性」を作品の中で大事にしている作者さんであると思います。
今回の作品は、出会の時から大偶然!マニアックな活動をしつつも、真っ直ぐな性格の持ち主のぼく。
そこに出会った中年男が、胡散臭い!
が、ぼくの資料をパラパラっと読んだだけで頭に入ってします。
中年男の知識は、日本史、郷土史、植物、処世術まで。
必要な場面で、自由自在に知識を操る場面に興味津々のぼく。その中年男が、ぼくの持っていた資料にある
「皆のあらばしり」について、調査するよう仕向けるのです。
これがタイトルの由来。テーマは、「正しい知識の使い方」「本当の賢さ」だったと思います。

受賞予想作品

砂川文次さんの「ブラックボックス」。芥川賞受賞作の特徴としては、
現代性を切り取るという部分が結構大事になってくると思います。
そんな観点から、砂川さんと乗代さんの作品が候補になると思いました。砂川さんの作品は、一人の男、ひとつのテーマという部分で
かなり掘り下げていったな、と思いました。
そして正統派の私小説風味が漂っていて、
それでこのクオリティーは、受賞に値するでしょう!W受賞になる場合は、
九段理恵さんの「Schoolgirl」と予想。W受賞となったら、違うタイプの物が選ばれるだろうという前提です。
YouTuberのZ世代と母世代のギャップが
太宰治の「女生徒」を下敷きにした物語が良かった。

おまけ!ベルの個人ランキング

5位、我が友、スミス
4位、オン・ザ・プラネット
3位、Schoolgirl
2位、皆のあらばしり
1位、ブラックボックス生きるのがあまり上手くない男性の私小説風味が良かった。昨年以上にランキングをつけるのが難しかった!
それぞれの作品、風味が全く違うので、順位をつけるのが難しかった!
どの作品も良かったです。
【全5冊】第166回芥川賞候補作を全部読んだ私が魅力を紹介&受賞予想します!
元サイトで動画を視聴: YouTube.

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